空白

そこに描き出すしかないのだもの。

愛が呼ぶほうへ

上手くいきすぎると反動がきそうですこしこわい。


マンボウだとかクラゲだとかの人間以外の生物はただ「在る」ということだけで世界が存在しうる。
しかしわたしたち人間だけは「語る」こともそこに付随させなければ世界をとじることができない。
「語られた」世界は、語られる以前と何がちがうのか。
それは温度を持つということであるとおもう。
そしてそのぬくもりをおそらく、実体と呼ぶのだろう。
というわけで、幽霊との恋愛はジ・エンド。
長い長い第二章のはじまりである。

あたたかな肉体。
掴むことができる。触れることができる。
かたくかたく、握りしめて、しまう。
肉体はつねに、執着や独占を纏っている。
しかしながら、わたしたちは自らの生しか生きられない以上、その手を離さなければならない時が必ずある。
たとえどんなに近い文脈を生きたところで、まったく同じ生をなぞることなどできないのだ。
だからこそ、その掌に残るぬくもりを大切にしたい。
手紙も写真も約束も苦手だけれど、それをこわがっていてはいけないのだということも、ちゃんとわかっている。
お互いを縛り付けるのではなく、高めあえる存在に。
会う度、素敵になれているような関係性を築こう。
向上心のないやつは、馬鹿だ。
自戒をこめて。尊敬の気持ちを持ち続けていたい。


何よりも「語る」場に立つ資格を得た。
まだうまく、じぶんの中で昇華しきれていない。
16時前に最終試験(通称クッパ:美容師さん命名)を終え、17時過ぎに内々定の電話をいただく。
21年の人生で一番長い、1時間と少しだった。
これまでも、文章力とコミュニケーション能力を高く評価してきてもらっていたので、それが実ったのだとしたら、とてもうれしい。
「関心がない」と、じぶんからも、社会からも目を逸らしていたわたしを諭してくれた人には、どんなに感謝してもしきれない。
これからは、誰よりも透徹したひたむきな視線で、社会に向き合うことが求められる。
くるしい作業だとはわかっているけれど、正しい世界を紡ぎつづける覚悟を、自らに託つ。
ペンが剣よりも、圧倒的に強い場で生きていくのだ。
伝えたい、届けたいという、忘れかけていた夢を、取り戻せただけではなく、手に入れられたのだから。
両親がすごく喜んでくれている。金曜日の内定式を過ぎれば、すこしは実感も伴うのかもしれない。