忘れかけた 本当は忘れたくない 君の名をなぞる
異動が決まった。
3月1日付で、福山へ配属。出たり入ったりだ。
懸念していた通りになってしまって、くやしいしかなしいしさみしいけれど、こればかりは仕方がない。
いまいる部署はしんどい、大変だと言われるけれどやっぱり花形で、そこでもっと巧くなりたかった。息も絶え絶えに生きてゆきたかった。
内示のとき、部長に「かかっちゃったね」と声をかけてもらえたことを支えにがんばる。出したくないと思ってもらえる人間であったのだと。考え過ぎだとしても。
この9ヶ月、もっとがんばれた部分もあって、それができなかったのはわたしの弱さで甘さだ。
でもその時間が、その後悔がこれからの力になる。
まだまだやりたい、まだまだやれる、まだまだやれた。
この仕事を好きだ。そう思える仕事につけたということを誇り続けるということ。
今度の部署は敵も味方もすくない。自分で自分をどれだけ律せられるか。
のびのびと呼吸しよう。おおきくなって、つよくなって、帰ってこよう。
この人と働きたい、この人みたいになりたい、最初の職場がそう言える人たちに出会える職場でよかった。もちろん、反面教師もたくさんいるけれど。
わりあい予感のようなものもあって、心の準備もしていたので衝撃自体は小さかったのだが、それでも同性の1つ上の先輩に「遠距離になっちゃうね」と声をかけてもらった途端、涙が溢れ出てきて自分でもドン引いた。
恋人はいたって合理的で冷静なひとなので、あらかじめ何度か話していて、「会えなければ10キロも1000キロも一緒だよ」と言ってくれて、「大丈夫だよ」と言ってくれるので信じ続けるしかない。
これからの3年は、きっと2人とも、それから先を決定づける3年になるから。
それぞれのフィールドでがんばろう。支え合いながら。
それにしても、2日連続で高校の同級生から結婚の報告を受けてびっくりだ。
もうそんな時期なのだと驚く一方、わたしはこんな状況で、恋人はもうしばらく学生なので、我々にはもう少し縁遠い出来事なのだった。
引っ越しの準備を進めないと。
新車がやってきた。非常に可愛い子ちゃんなので、テンションあがる。
大事に乗ろう。
いいこととわるいことは表裏一体。どの角度から見るかのちがいだけ。
いつだって独りじゃないのだよ。
そう自らに言い聞かせ、気を抜けば萎えてしまいそうな、砕けてしまいそうな何かを鼓舞するのだった。
なんと涙ぐましい努力!