空白

そこに描き出すしかないのだもの。

愛してたよ 軽率だね

12日の夜に電話をして、お別れしました。
約2年間の、長いおつきあいでした。
にも関わらず、彼が部屋に残した痕跡の、あまりのすくなさに、すこしびっくりした。

悪いのは、全面的にわたしです。
大学に入学してから、サークル、恋愛、自分の時間の三本柱で生活してきました。
それが今回、サークルがなくなって、自分の時間の領分ばかりが広がってしまった。
1ヶ月実家で過ごしたのもあって、ふたりでどうやって過ごしていたのか、わからなくなってしまった。
眠りたいときに眠って、本を読みたいときに読んで、料理をしたいときに料理をする。
そういう生活に、うまく彼氏を組み込めなかった。
身勝手だなあ。ずっと、待っていてくれたのに。
あんなに、一緒にいたいとごねて、帰らなきゃいけない彼を、困らせていたのはわたしなのに。
家に来てくれても、はやく帰ってくれないかなあ、って。
メールをしていても、億劫だなあ、って。
いつの間にか、会うことや、メールをすることが義務になってしまって、楽しめなくなってしまったわたしがいました。
どんどん対応がそっけなくなって、見下すような発言ばかりが増えて。
ほんとうに、いやだった。
これ以上一緒にいても、傷つける一方なのは、目に見えていた。
2週間後に、2年記念に旅行をする予定だったんだけれど、こんな気持ちで行くのは、絶対にだめだとおもったから。
でもわたしの性格上、その日に何もしないっていうことは、やっぱり終わりを意味していて。

対等な関係を望んだのはわたしのはずなのに、どんどん萎縮する彼にいらだってばかりいた。
でもその責任もぜんぶ、わたしにあった。
別れたあとも、メールをしたり、話したりしているのだけど、いま、また、たのしい。
どこまでもわたしは、自分本位だ。
別れよう、って言ったとき、彼は距離をとろう、って言ってくれました。
でも距離をとったところで、わたしは結局、ひとりの気楽さに安住してしまうのが目に見えていた。
どの道を通っても、いまひとりで世界が完結してしまっているわたしは、彼との未来を、描けなくなっていたのです。
きらいに、なりたくなかった。
きらいに、なられたくなかった。
2年間、たしかにしあわせで、たしかにたのしかったから。
ただ、彼がこの2年間で唯一よかったことは、わたしを好きになったことだ、と言っていたと聞いて、毎日来ていたメールが来なくなって、ああ、胸がいたい。
わたしは何も、してあげられなかった。
そしてこれからはいままで以上に、何も、してあげられない。

おともだちになろう。
であってすぐに、惹かれあってしまったから、友達だった期間なんかなかったから。
合鍵は返してもらって、会う頻度とメールする頻度が下がって、キスとセックスをしなくなって、わたしが彼にわがままを言わなくなって。
そんな、良好な関係が築けたらいい。
ごめんね、と謝ることは、彼に対する侮辱だから、もう言わない。
謝るくらいなら、別れなければよかったのだから。
(それでも、まだ、触れたいとおもってしまうわたしは、知らないふり、)

2年間、甘やかされ放題だったから、次の彼氏のハードル上がるなあ。
でも次は、もっと相手を、大切にできるとおもうし、したいとおもう。
ただ、しばらくは、ひとりでいいや。
じぶんと、しっかり、向き合おう。
サークルをやめて、恋人と別れて、20歳の春は、リセットの春になりました。

さよなら、ありがとう。

あいしてたよ、軽率だね。
この世に限りはあるの?
もしも果てが見えたなら
如何やって笑おうか愉しもうか
もうやり尽くしたね

じゃあ何度だって忘れよう
そしてまた新しく出逢えれば素晴らしい
然様なら 初めまして

(この世の限り/椎名林檎斎藤ネコ