空白

そこに描き出すしかないのだもの。

肩を寄せるようにして愛を歌っている

惨めだと思えば惨めになる

無理だと思えば無理になる

可哀想だと思われればそれまでだし

不幸だと思われればきっとそうなんだろう

でも

家族がいて

友達がいて

尊敬する人がいて

健康で

笑えて

空がきれいで

夢があれば

あたしはきっと、だいじょうぶなんだと、思うんだ

もっと我儘になりたいし

もっと自己中心的になりたいし

そうね、もっと素直になりたい

自分のことは自分でしてきた(それが一番手っ取り早いのだと気づくのが早かった)

言わなくてもいいことの線引きをしっかりしてきた(それが自分も相手も傷つかない方法だと信じていた)

そろそろ怒ってもいいのかもしれない

今朝の奈子の第一声「泣いたの?」

付き合いの長い友達には敵わないなぁ

ちょっと救命措置をとってもらう

放課後いろんな歯車が噛み合わさったので千葉(でいいのかしら)に例のお話を洗いざらい白状する

言わされたんじゃない、言いたかったから言った

一方的に話すのは好きじゃないけれど今日はそれを自分に許してあげようと思った

付き合いの短い友人でもフィーリングでわかる

この子は、良い子だ

あたしは忍耐強い大人ではなく欲しいものを欲しいと言えない子供で

したいことをしたいようにすると結果としてそれが無茶になってしまう幼ささえ抱えている

それを辛いと思うことを禁じているのではなく、ほんとうに辛いと感じないだけ

ただ体は悲鳴を上げる、それだけ

体の傷は唾をつけときゃ癒えるのだ

嫉妬に狂ってしまいたかった、愛憎に壊れてしまいたかった

でもあたしには北尾や有井がいて、せんせいもいて

こちら側への未練がありすぎて

そんなにぎりぎりいいながら無理して動かなくても良いのよ私の心臓、とは言ってあげられなかった

それでよかったと今なら思える

世の中にはどうしようもないことがたくさんある

割り切る方法なら覚えてる、切ないことに

あたしはもうどんな「ごめん」も「だいじょうぶ」も信じないが

人間だけは、信じていたいね