空白

そこに描き出すしかないのだもの。

負けないように枯れないように

内省的になっているとまともなことを考えないのでよくないとはわかっているのだけれど、時間を持て余しているせいで不穏なことばかり考えたり思い出したりしている。
ここにはめいっぱい好き放題に書き散らかしているにも関わらず、それでもまだ書いていないことがあって、それは書いて残すことに激しい嫌悪を覚えるからだ。
口に出してしまったことは取り消せないし、紙に書いてしまったことは変えられないのだ、とは、親友の受け売り。
しかしどんなに見ないようにしていても、傷は傷のまましくしくと痛んで自己主張し、忘れる気があるのかないのかわからない自分にうんざりする。
単純に忘れられない、だけなのかもしれない。
忘れたくないの?
自分で自分を記憶に縛り付けてなにがたのしいの?
悲劇のヒロインを気取りたいの?
反吐が出そうだ。

背負わなくていいものばかりだって、わかっている。
ほんとはきっと、そんなに重くもなんともない。
がんじがらめに過去に手をとられ、握り締める闇は深く濃い。
言語化して、ひと通り泣いてしまえばきっと楽になれる。
それをするべき時にしてこなかったから、いまこうして涙がぐずぐずとわだかまっている。
しかし独りで泣くにはあまりに遠い場所まで来てしまった。
もうあのときじゃない。
でも結局、きちんと治療せず目を叛けてきただけだから、その部分はその部分として醜い姿のままわたしのたましいにとてもちかいところに残ってしまっている。
均衡の深淵に立ち尽くす度、こちら側に留まるのに、どれだけのエネルギーを費やしているのだろう。
そんな場所、本来ならば立つことすらしなくていいはずなのに。

こわい。すごくこわい。ぜんぶこわい。
いつまちがえてしまうのか。いつすべてめちゃくちゃにしてしまうのか。
いまが満たされすぎているからこそ。

1,2,3。目を閉じて深呼吸。
深く深く、吸って吐く。
氷塊が融解するときは、もうきっとそんなに遠くない。
パンドラの匣に最後に残ったのは希望だったという。
ぐらつく蓋を押さえつけることばかりに躍起になっていたけれど、美しい名前のそれを見てみたいと、今なら思える。
これもある種の成長だ。

大丈夫。
変われる、変えられる。変わる、変える。