意識は希望に素直じゃあない
わたしが歩けない人生を、あなたが歩むことは別に構わない。
ただ、あなたはわたしにとても似ていると思うから、頑張れとも言ってあげない。
その言葉はきっと、あなたの喉に綿を詰めることになる。
吸った空気は肺まで落ちずに遮られ、あらゆる水分を吸収してどこまでも膨らんでいくだろう。
その言葉の殺傷力の強さに、あなたはきっと気づいていない。
その代わりあなたがそれをやり遂げたときには、きちんと褒めてあげよう。「頑張ったね」と。
認められたい。
でも、認められるに値しない状態を認められるのは、腹立たしい。
手放すこと、諦めることが大人になることだというのなら、わたしはきっとそれが上手くなってきてしまった。
かなしい。
あんなにあいしていたのに。
わたしの一部であったのに。
書道も、音楽も、ことばを紡ぐことも、学問すらも。
これが現実であるというのなら、いますぐ時計の針を止めてしまいたい。
さもなくば逃げ出してしまいたい。
さよならの下手な子どものままで居続けたい、のに。
才能だとか能力だとかに勝手に限界をもうけて見切りをつけてきたのがわたしの人生だ。
そうおもうとひどく苦しくなる。
家族のためだなんて責任を転嫁してみたところで、しかしそれはすべてわたしが逃げ出すことを正当化するための理由付けにすぎない。
わたしは一体どうなりたいの、なにがしたいの。
うつくしいものに囲まれていきてしねればいい。
うそ、欲張りなくせに。
いつまでも、優等生だね。もう誰も、褒めてはくれなくなるのにね。
褒められたいよ。
認められたいよ。
だから頑張るの。
頑張らないと褒めてもらえないもの、認めてもらえないもの。
どこかで小さな子どもが泣いている。