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空白

そこに描き出すしかないのだもの。

涙の海で溺れた

むかしの恋のおはなし。

今日くらいは、いいかな、と、おもって。

ほんとのことかもしれないし、

作り話かもしれないよ。

「別れたくないけど、

別れなければいけないとおもう」

なんて残酷なことばだろう!

気持ちが冷めていくのは、

ほんとうにあっという間で、

それを間近で為す術もなく呆然と

見ているしかないかなしみというのは、

いっそ雨の中で泣くことぐらいでしか、

軽くはならなかった。

皮肉なことに傷ついたことで、

たくさんのやさしさに触れた。

でもいま思えば、

傷ついていたのは、わたしだけじゃない。

やさしい、人だったから。

なんで別れる日に、

はじめてのキスをしたんだろう。

なんで別れる日も、

いつものハグをくれたんだろう。

上手に言えないさよならを、

掌のミルキーに託したね。

さよならを言ったのは、

あいしていたからだよ。

醜くしがみつくくらいなら、

うつくしい想い出になりたかった。

どうかな、新しい道、

お互いに進めているかな。

わすれられない。

わすれたくない。

そんなわたしが、

あいされる自信、

もてるはずがない。

永遠を、

信じることができない。

相も変わらず臆病で、泣き虫で

所有の伴う喪失を恐れ続ける幼いわたし。

それでももう一度、

わらえるようになったよ。

心の底から。

まだ上手にお話できないけれど、

いつか君につたえたい。

いくらかの謝罪と、

たくさんの感謝を。